終身雇用・年功序列が崩れた今、高卒新卒者の可能性に目を向けるべきです
かつて「終身雇用」「年功序列」「企業別労働組合」という日本型経営の3種の神器がありましたが、これらが崩壊した現在、企業が注目すべき人材層として高卒新卒者が挙げられます。彼らは多くの人が持つ先入観とは異なり、スキルや能力が低いわけではありません。18歳になれば成人として社会に飛び立つ準備が整っており、実務経験を積むことで大きな戦力となり得る人材です。
高卒新卒者の現状
2023年3月卒業予定の高卒新卒者の就職内定率は84.5%(2022年12月時点)で、約9割近い生徒が就職活動に成功しています。また、企業規模別の求人倍率を見ると、従業員規模10~99人の中小企業では2.50倍、5~9人規模では3.00倍と、大企業(0.50~0.60倍)を大きく上回っています。つまり、中小企業は高卒新卒者の採用意欲が高い一方で、充足率が低いことがわかります。
高卒新卒者の強み
高卒新卒者は、以下の点で大きな可能性を秘めています:
1. 早期から現場で実務経験を積むことができる
大学卒業者と比べて、若い段階から実践的なスキルを身に付けることができます。
2. 柔軟性が高く、企業文化に順応しやすい
社会人としての意識形成は必要ですが、それは大学卒業の新卒者も同じです。
3. 将来の中核人材としての成長が期待できる
早期にキャリアをスタートすることで、企業内での長期的な活躍が見込まれます。
見直されるべき採用基準
多くの企業が「高卒入社を条件から外す」選択をしているのではないでしょうか? しかし、この選択が企業の成長機会を狭めている可能性があります。高卒新卒者を積極的に受け入れ、入社後に適切な育成プログラムを用意することで、従業員のエンゲージメントを高め、組織全体の生産性向上につながるでしょう。
これからの戦略
企業が求めるのは「即戦力」ではなく、「育成を通じて成長する力」です。高卒新卒者はその可能性を十分に持っています。採用活動において、学歴や年齢ではなく、「長期的な成長性」に目を向けることで、新たな人材戦略を構築できるのではないでしょうか。
ローズ経営労務事務所
代表社会保険労務士
川向広誓